喘息

喘息(ぜんそく)はどんな病気?

鎌田クリニック:ぜんそく

喘息という病気の本態は、空気の通り道である気道(気管支)が種々の原因によって慢性的に炎症を起こすものです。この気道の炎症のために咳や痰が出たり、また気道が狭くなることからゼーゼー、ヒューヒューや息苦しくなったりします。病気の原因としては成人の喘息の場合、アトピーなどの種々の遺伝的素因を背景に、アレルゲン(ホコリ、ダニ、ペットの毛、花粉やカビなど)や特定の職業性物質の吸引により発症してきます。そして喫煙、大気汚染、感冒、ストレス、人によっては運動や特定の薬剤(鎮痛解熱剤など)も発症や増悪に関与しているとされています。

喘息の患者さんは日本にどのくらいいるの?

患者さんの数は年々増え続け現在ではなんと400万人以上の患者さんがいるものと考えられています。そして多くの場合、喘鳴(ゼーゼー)や呼吸困難などの特長的な症状があるわけでなく、単に咳が止まりにくいだけの軽度な状態の場合も多く見られます。クリニックの患者さんの中でも『風邪を引いてからなかなか咳がとまらない』と言って来院される方の中で、これまでにかなりの確率で喘息の患者さんが見つかっています(病気のQ&A「長引く咳」をご参照ください)。「そう言えばなんだか咳が続くな。」このような時にはぜひ一度ご相談ください。

喘息の治療は?

慢性の気道の炎症、それによる気管支の収縮が病気の本態なので、
1.気道の炎症をとる吸入ステロイド
2.気道を拡げる吸入の気管支拡張薬
3.内服のロイコトリエン拮抗薬(シングレア、オノンなど)
4.内服のテオフィリン薬(テオドールなど) を組み合わせて使います。
そしてこの中で治療の中心となるのは吸入ステロイドです。ステロイドということで副作用を心配される方がいらっしゃるかもしれません。ただし皆様が心配するステロイドの副作用は内服のステロイド剤を長期的に使用した場合であり、これに比べて吸入薬で使われる量は内服に比べてはるかに少量であり、しかも気管支という局所に限局して使われるだけであり全身の副作用の心配はほとんどありません。安心して長期間使っていけるものです。なお現在では吸入ステロイドと気管支拡張薬の合剤(アドエアー、シムビコート、レルベア、フルティフォームなど)が治療の中心になっています。
また最近では重症アトピー型喘息患者を対象にした注射薬(ゾレア)なども使われ一定の効果が得られています。
薬物治療以外では、まず喫煙されている方は気道の炎症を増悪させてしまう為に喫煙は絶対にやめるべきです。またアレルギーの原因となるペットやホコリ、ダニなど日常の環境に対する対策も必要です。

<<ホコリ・ダニ対策>>
1.可能なら床はカーペット・畳からフローリングに
2.毎日こまめに掃除機をかける
3.カーテン・布団などダニが付きやすいものは定期的に水洗いを
(大手のクリーニング店では布団の丸洗いなども行ってくれます)
4.ぬいぐるみなど毛羽立ちがあってほこり・ダニが付きやすいものは置かない。
5.空気清浄機を設置する。
また喘息を悪化させる最大の要因は気道感染です。風邪の予防に努めるとともに、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなども積極的に接種することも有用です。

症状がなくなれば治療はやめてもいいの?

鎌田クリニック:ぜんそく

症状がなくても気道の炎症は続いています。このため自覚症状が改善しても一定期間は吸入のステロイドを中心とした治療は続ける必要があります。気道の炎症が持続するとリモデリングと言って、炎症によって気道の壁が厚くなり伸展性が失われた状態になり、やがて気道の狭窄が進んで大発作を起こしやすくなります。現在でも日本で年間2000人のぜんそく患者さんが亡くなっています。その多くが、治療が不十分であったり、自己判断で治療を中止してしまった場合であるとされています。治療薬の減量や中止は受け持ちの先生とよく相談して行っていく必要があります。

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